VRで加速するアジャイル開発

2016年のVR元年を皮切りに、企業でも盛んにVRを活用して製品開発が進められています。

VRを製品開発に取り入れるとどのようなメリットがあるのでしょうか。

今回はVRが製品開発にもたらした変革と、製品開発で必要になる開発環境についてご紹介します。

VRによる製品開発プロセスの変革

ここでは、一般的な開発手法であるウォーターフォール開発と、VRと非常に相性が良いアジャイル開発について、概要をご紹介します。

ウォーターフォール開発

ウォーターフォール開発では、開発の最初に厳密な製品化スケジュールを立案し、そのスケジュールに沿って、各工程の業務が順に行われていきます。

この開発手法のメリットは、製品化までのスケジュールに基づき進捗を管理しやすく、計画的に業務を行うことができることです。

また、各工程は他の工程の影響を受けにくく、独自のやり方で進めることが出来ます。

しかし、膨大な試作コスト・リードタイムが必要であったり、開発の後半で問題が発生すると、大きな手戻りが発生するといった課題がありました。

最終的には、製品化のスケジュールに終われ手戻りができなくなり、企画を下方修正して製品をリリースすることに繋がってしまいます。

アジャイル開発

一方、アジャイル開発では、各工程が一体となって細かなサイクルを回していきます。

そうすることで課題は分割され、一つ一つが小さいものになり、少ない手戻りで着実に越えていくことができます。

また、工程間のコミュニケーションが活発になり、目の前の課題に対して様々な対策が打てる様になります。

試作に関しても、その時々の課題に応じて柔軟な試作をすれば良く、結果としてコスト・リードタイムを抑えることが出来ます。

VRで加速するアジャイル開発

アジャイル開発を進めるにあたって最も大切なことは、細かく検討のサイクルを回していくことです。

そのためには、徹底的に試作コスト・リードタイムを減らす必要があります。

そこで登場するのがVRです。

VRを試作工程に導入することで、設計と評価の間にあった試作コスト・リードタイムを大幅に減らすことが出来るのです。

設計がCADデータを作ると即座にVR化して評価が始まる。

VR化のコストはものづくりと比べてはるかに安いので、何度でもこのサイクルを回すことができます。

このようにVRでアジャイル開発を加速をさせることは、時事刻々と変化する時代のニーズに合った製品を産み出すためにも必須となりつつあります。

製品開発に必要なVR環境

それでは次に製品開発に必要なVR環境をご紹介します。

上でご紹介した様に、製品開発の現場では設計者がCADデータを作成し、これを迅速にVR化する必要があります。

設計データはポリゴン数が非常に多い(データが重い)ため、OpenGLという高性能な描画手法を用いてVR化することが一般的です。

その為、OpenGLに適したGPU(Graphics Processing Unit:画像処理チップ)である、Quadroを搭載したグラフィックスボード(ビデオカードとも言われます)が必須となります。

対してゲームではDirect Xという描画手法が良く用いられており、この記事を読まれている方の中には、Direct Xに適したGPUであるGeForceを搭載したグラフィックスボードを購入された方も多いのではないでしょうか。

以下に具体的な製品をご紹介します。

CADプロフェッショナル向け:Quadro

Quadroシリーズは、GP100、P6000、M5000、K410など、アルファベット+数字で表現されます。

アルファベットは世代を表し、数字は性能を表しています。

私は昨年春、業務用に当時最高性能のP6000を約75万円で購入したのですが、先日発売開始された最新のGV100は、P6000から約1.5倍※性能アップしています。※価格は約2倍になっています。。。

ゲーム向け:GeForce

GeForceシリーズは、GTXと呼ばれるゲーマー向けハイスペックグループがあり、その中にTITAN X、1080Ti、950などがあります。

こちらもQuadro同様数字の大きいものが高性能で、さらにTITAN Xの様な特別なGPUがリリースされています。

こちらはTITAN Xでも約15万円と、コンシューマー向けの価格設定になっています。

グラフィックス性能を倍にするSLI構成

上で紹介したGPUに対し、同一のものを2機用意して写真のケーブルで接続することで、約2倍の高速化を図るSLIと呼ばれる手法があります。

1機の映像出力機能を無効化し計算専用にする為、ほぼ2倍のグラフィックス性能向上が見込めます。

私の様にP6000を単独運用している方は、GV100(約150万円の投資で1.5倍の高速化)よりもP6000SLI(約75万円の投資で2倍の高速化)の方がコストメリットは大きくなり、オススメの手法です。

まとめ:開発を変えるにはまず開発環境から

いかがでしたでしょうか。

企業では一般的にPCの更新頻度は数年に一度ですが、VRの技術進化はとどまることを知りません。

これからVRで開発を変えようとしている方は、是非開発環境にも目を向けて見てください。